専攻医の声

 内分泌グループでは、当科所属の内科専攻医や大学院生の先生方に、数ヶ月の期間に亘り、主に病棟診療に参画して頂いております。
 朝夕回診前には必ず、スタッフ医師と一緒にカルテを確認しながらミーティングを行います。これにより、検査結果や今後の検査治療方針をスタッフ医師と共有します。また、毎週のグループミーティングでは、退院された入院患者さんの診断や治療方針を改めて確認し、入院診療の振り返りと今後の外来診療へ向けた橋渡しとしています。スタッフ医師とは、日中や夜間を問わず、いつでも相談、連絡が出来る態勢を整備し、患者様のご病状に即応出来る診療態勢を整えています。
 これまで、我々と共に診療を行って参りました専攻医・大学院生の先生方の体験談を以下に記載致します。
 これから内分泌グループをローテートされる先生方、ぜひ一緒に、内分泌診療の醍醐味を我々と共有しましょう。内分泌病棟にて、いつでも、お待ちしております。

2020年 エッセイ

教室員会だより(東北大学医学部教室員会広報部発行)の2020年12月号に、2020年1月-4月に内分泌グループをローテートしていただいた千葉祐貴先生が当時を振り返り寄稿していただきました。教室員会から転載の許可を得ましたので掲載いたします。

原文PDFはこちらから  教室員会だより vol.26

私の思い出の症例・研究裏話 千葉祐貴先生
千葉祐貴

 私は普段は腎臓病や透析患者を中心に診療していますが、今年度の 1 月 から 5 月まで当科内分泌グループで病棟業務を中心に診療に携わりました。内分泌グループの診療範囲は主にホルモン異常をきたす疾患で多岐にわたりますが、今回は診療の中心となる原発性アルドステロン症(PA)に関して当院で行っている検査、治療に関して述べます。
 PA は副腎皮質に腺腫や過形成が生じ、アルドステロンが過剰に分泌されることにより高血圧症や低カリウム血症を引き起こす疾患です。肥満などの生活習慣が引き起こす本態性高血圧症とは別に二次性高血圧症の原因として重要な位置を占めます。PA は高血圧症全体の約 5-10%を占めると考えられ、実際診断がついておらず治療ができていない患者も多数いると推察されます。当院では全国屈指の PA 診療施設として他科と連携しながら PA の診断、治療を行っています。
 まず外来で若年性の高血圧症など PA が疑われる患者が紹介された際、スクリーニングを行った後に入院での精査となります。入院時に行う検査としては①診断のための負荷試験、副腎静脈サンプリング検査(AVS)、➁合併症のスクリーニング検査になります。PA の負荷試験としては当院ではカプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験を行っており、主な評価項目としては負荷後のアルドステロン / レニン比、アルドステロン値になります。負荷試験で確定診断がついた後は症例に応じて、放射線診断科と協力し AVS を行います。当院では造影剤アレルギーで造影剤を使用できない患者は CO2 によるサンプリングも行っています。造影剤を使用しないため、血管の走行を確認するのが非常に困難な検査になります。私も検査を数回見学することができましたが、血管の走行を判断することはできませんでした。当院ではこの難易度の高い検査も熟練した放射線診断科医師、スタッフにより非常に高い成功率となっています。
 AVS を行い多くの患者は両側副腎過形成による特発性アルドステロン症 (idiopathic hyperaldosteronism: IHA) の診断となり、この場合薬物治療の適応となります。一方、腺腫によるアルドステロン産生腺腫 (aldosterone-producing adenoma: APA) の診断となった場合は泌尿器科による腹腔鏡下での外科的治療の適応となります。
 また PA は睡眠時無呼吸症候群や脳血管障害など多臓器疾患のリスクが高いことが知られておりアプノモニター、エコー、MRI などを行い合併症の評価も同時に行います。高血圧症や糖尿病など PA を中心に合併しやすい生活習慣病も外来、入院で最新のエビデンスに沿って治療を行っております。患者個人に最適な治療を選択し、最善の治療を行うことをスタッフ全員で心がけており、治療のレベルは非常に高いものとなっています。
 ここで私が特に印象に残っている APA 患者を2名紹介します。両名とも県外からの紹介患者で高血圧症、低カリウム血症があり、治療を強く希望され当院受診となりました。検査の結果は APA と診断、外科的治療の適応となりました。私が経験した APA 患者は低カリウム血症を認める場合が多く、内服や点滴でのカリウム補充を必要とするほどでした。APA 患者で血清カリウム低値を来すことは APA のアルドステロン値が IHA の数倍から数十倍であることから、当然の結果ともいえます。しかし今まで PA とひとくくりにイメージしていた私にとって APA、IHA の概念は新鮮なものであり、一連の診断から治療へのマネージメントを学べたことは大変勉強となりました。
 当科では他にも原発性副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、褐色細胞腫など多くの内分泌疾患の診断、治療を行っています。上記のような疾患の診断や治療に内分泌のスペシャリストである先生方と携われることができたのは非常に良い経験でありました。ありがとうございました。

2020年

2020年12月~
渡邉駿 先生(大学院生)
 現在ローテート中。


2020年8月-10月
髙橋慧 先生(大学院生)
 3ヶ月間大変お世話になりました。
 初めてみる疾患も多かったですが、尾股先生の仰るとおり、無症状な患者に対してリスク管理を行うという点では腎臓の診療にも通じるところもあるように思われ、大変勉強になりました。
 内科医としての視点を大きく広げることができた貴重な期間だったと思います。今後も色々ご相談などさせていただくことも多いかと思います。また診療に参加させていく機会がありましたらよろしくお願いいたします!


2020年7月-9月
金沙織 先生(内科専攻医)
 3ヶ月間大変お世話になりました。
 生活習慣病から教科書でしか見たことがないような珍しい内分泌疾患まで幅広く勉強させていただき大変良い経験になりました。こちらで学んだ治療方法やスクリーニング検査を外勤先で試すなど自力で実践することもできて大変充実した3ヶ月間だったと思います。診断学はもともと興味がある分野だったので楽しく過ごすことができました。
 まだまだ未熟な身ですのでご迷惑おかけしたかと思いますが、丁寧にご指導いただきまことにありがとうございました。
 今後は透析室を経て腎グループに戻る予定です。外勤先で内分泌疾患の患者さんを複数もっておりますためまたご相談などさせていただくことあるかと思いますがご教示いただけますと幸いです。今後ともよろしくお願い申し上げます。


2020年5月-6月
古田銀次 先生(内科専攻医)
 2ヶ月間、ありがとうございました。毎日が勉強になりました。今後ともよろしくお願いします!


2020年4月-7月
大黒顕佑 先生


2020年1月-4月
千葉祐貴 先生(大学院生)
 4か月強と長い期間、ご指導ありがとうございました。
 内分泌の患者はたくさん経験でき、ホルモン動態や結果の解釈の難しさも感じました。生活習慣病に対する先生方のEBMに沿った厳密な管理は非常に勉強となりました。
 また研修医の先生や学生の先生方に対する接し方も学ぶところが多く、今後の腎グループでの診療に生かしていきたいと思います。
 今後とも病棟、外来、研究とよろしくお願い申し上げます



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