高次修練学生の声

2022年(令和4年 Ⅳ期)

東航輝 さん

実習テーマ等:内分泌疾患における診断・治療・合併症への対応について
       負荷試験における静脈採血手技の習得
実習概要・成果等:
 担当の患者さんとしては原発性副甲状腺機能亢進症・高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症を合併したクッシング症候群・下垂体卒中による下垂体機能低下症の症例を受け持った。毎日お話を聞きに行き、カルテを書くことでそれぞれの疾患に対する検査の順序とその解釈に加えて種々の合併症に対する幅広いアセスメントを学ぶことができました。担当症例以外にも原発性アルドステロン症、成長ホルモン分泌不全症、バセドウ病へのRI治療、悪性リンパ腫での副腎機能不全、傍神経節腫瘍、副副腎によるアルドステロン症、下垂体炎による中枢性尿崩症、放射線照射後の視床下部・下垂体機能低下症など様々な疾患の患者さんを診ることができました。水曜日のカンファレンスや回診の前に患者さんに関して確認する際に先生方がそれぞれの患者さんに関して詳しく 話してくださったので、すべての患者さんの病態を理解したうえで回診することができ、理解が大変深まりました。また、発表症例のスライドを先生に見ていただいた際に、原疾患による二次性の疾患が多い症例であったため、血液検査項目の正常値から外れているすべての項目について鑑別疾患を調べて本症例での異常値の理由を考えてみるように指導を受けました。それを通して多くの疾患理解につながり、内科的なアセスメントを学べたことで、内科も面白いなと思えました。
 また、アルギニン負荷、グルカゴン負荷、GHRP-2負荷、カプトプリル負荷、生理食塩水負荷、ACTH負荷、高張食塩水負荷など種々の負荷試験を行うことができました。また、自分たちでは静脈採血をしていないが75gOGTTやデキサメタゾン抑制試験についても学ぶことができました。静脈穿刺では同級生と練習した時には失敗してしまったりなどしましたが、患者さんに対して10回以上行う機会があり、この4週間を通してコツをつかんで大変成長できたと感じました。ルートの組み立てや薬剤を作るのも他の科では経験できないもので、かなり貴重な経験ができ、学生のうちにできるようになれてとてもうれしく思いました。血ガス測定も自分で機械を使うのは初めてだったので良い経験になりました。
 先生方は皆さん丁寧に教えてくださり、負荷試験の時も時間をかけて学生の手技に付き合ってくださりました。質問した際も丁寧に答えてくださり、大変勉強になりました。4週間本当にありがとうございました。


真砂拓海 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診断と治療法を学ぶ、実際の診療や症例を学ぶ
実習概要・成果等
 朝・夕回診、総回診、各種負荷試験、副腎静脈サンプリングの見学、担当患者さんの問診・身体診察、症例発表などを経験した。
●内分泌疾患の診断と治療について
 高血圧患者約4000万人の内、原発性アルドステロン症患者は5-10%ほどもいるとの事だった。原発性アルドステロン症では他の原因による高血圧よりも5~20倍合併症リスクが高く、早期診断・治療が肝要である。しかし治療によって改善出来るものなので、スクリーニングとしての理解が深まることが急務だと感じた。
●実際の症例について
 下垂体機能不全と両側副腎腫瘍の患者さんの症例を担当した。下垂体機能不全も両側副腎腫瘍による副腎不全も、日々の生活に支障が出る程に怠さを感じると患者さんから伺い、改めてしっかりと診断・治療を行い、本人のQOLを改善していく事の重要性を感じた。
●各種負荷試験について
 静脈路確保や静脈路からの採血などを実際にやらせていただいた。先生方からは、各手技を分かるまで丁寧に教えていただき、最終的には実際に患者さんに行うときも自信を持って取り組めるようになった。内分泌分野は教科書上で学ぶだけだと各疾患に対応する理解や何故この治療法を選択するのかなど、理解が難しい分野だと感じていたが、負荷試験を実際に経験し、生まれた疑問点を解説して頂けたことで教科書で得た知識がより深まり、分野に対しての苦手意識を払拭出来た。


遠藤貴大 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診断と治療方法の習得、腎臓病の診断と治療への参画
実習概要・成果等:
 大崎市民病院 腎臓内分泌内科にて1週間、大学病院内分泌グループにて3週間実習を行った。
 大崎市民病院での実習では、病棟患者の把握(内1人担当患者としてプレゼンテーション等も担当)、透析室見学、内分泌外来実習、腎外来実習、腎生検見学3例、腎病理実習を行った他、腎臓内科の特徴等の話を伺うこともできた。 担当患者はネフローゼ症候群、RPGNで入院となった例で、補体低値、dsDNA抗体(+)、抗核抗体(+)、汎血球減少、関節炎疑いの既往よりSLE疑いでステロイドによる治療を開始した。高血圧の是正後腎生検を行い、結果が出次第ヒドロキシクロロキン等の治療も追加する予定となった。内分泌外来では3人に対して身体診察を行うことができた。二次性高血圧症疑い(Cushing症候群、原発性アルドステロン症)、甲状腺疾患(Basedow病、Plummer病)等の患者をみることができた。腎外来では、ADPKD、Alport症候群といった遺伝性腎疾患患者を複数みることができた。腎病理実習では、ループス腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、各種ネフローゼ症候群の病理をみながら解説をしていただき大変勉強になった。
 大学病院では内分泌グループで実習を行った。AVS2例、副腎生検1例、カプトプリル負荷試験4例、生理食塩水負荷試験4例、ACTH負荷試験1例、CRH負荷試験1例、アルギニン負荷試験1例、GHRP2負荷試験2例、高張食塩水負荷試験2例をみることができた。各種負荷試験を経験でき幅広く勉強することができたとともに、ルート確保を経験することができたのも大変貴重な機会だった。
担当症例は原発性アルドステロン症で、スクリーニング陽性→機能確認検査→AVSによる局在診断といった一連の流れを経時的に学べたのは非常に印象に残った。同症例の考察として、APAとBPAの疫学やAPCCとPAの関連、甲状腺疾患とPAの関連等について深く学ぶこともできた。またそのほかにも、悪性リンパ腫疑いに対して副腎生検を行った例、バセドウ病に対してRI内用療法を行った例、サブクリニカルクッシング症候群の例、褐色細胞腫に対して外科的腫瘍摘除を行った例など、3週間という短い期間にも関わらず印象に残る症例が多数あった。
 大崎市民病院、大学病院いずれにおいても非常に丁寧にご指導いただき、有意義な実習をすることができました。ありがとうございました。


坂本尚輝 さん

実習概要・成果等
 朝早くから負荷試験を多く行った。採血手技を懸命に行った。最後の方は慣れてきて、実りある実習だった。一方の患者さんは負荷試験に大変な様子で、双方に負担のかかる大変な試験であると感じた。
 大学病院の内分泌科は特殊疾患が多いと思っていたが、原発性アルドステロン症やクッシング症候群(サブくリニカルクッシング症候群を含む)標準的な疾患が多いことに驚いた。市中病院を期間中見学として行かせていただいたが、そもそも患者数も違えば、負荷試験もそれほど行っていなく違いを感じるところがあった。AVSや腎生検なども見学させていただいた。

2022年(令和4年度 Ⅰ期)

川嶋奏 さん

実習テーマ等:病歴、身体所見の取得と記載
       内分泌疾患の診断と治療方法を学ぶ
       各種負荷試験に参加し、静脈ライン確保や採血手技を学ぶ
実習概要・成果等:
 1週目は大崎市民病院腎内分泌科にて病棟実習と外来見学・身体診察を行いました。病棟では微小変化型ネフローゼ症候群の症例を担当し、電解質を中心とした血液・尿検査所見の解釈や対応を学びました。特に血液-尿間の電解質の比較によって転帰・病状の予想をするという視点は勉強になりました。外来では甲状腺を中心に内分泌疾患を見学し、免疫チェックポイント阻害剤の副作用による内分泌疾患(主に機能低下)が最近増えていることを知りました。外来では甲状腺の触診の他に基本的な身体診察も行いました。
 2週目からは東北大学病院内分泌グループにて病棟実習を行い、各種内分泌疾患について学びました。担当症例として原発性アルドステロン症疑い患者を受け持ち、カプトプリル負荷試験・生理食塩水負荷試験を行いました。3週目からは担当相例のスライド作成を行い、原発性アルドステロン症の診断基準や疫学、治療法とその効果についてガイドラインや論文を読んで学習しました。
 患者さんへの静脈ライン確保や三方活栓を用いた点滴・採血は初めての経験でしたが負荷試験に複数回参加することで一通りの流れを学び、慣れることができました。特に静脈ライン確保については成功率の上げ方について論理的に学ぶことができ、実際の穿刺でそれを実践することができました。
 この実習では各内分泌疾患の知識の他にも患者さんの状態が変化した際の考え方や各検査データの解釈など基礎的な部分を先生方に教えていただくことができとても有意義でした。1カ月という短い間でしたがありがとうございました。


近藤悠人 さん

実習テーマ等:内分泌コース(内分泌性高血圧、甲状腺、副甲状腺、脳下垂体等の
       内分泌疾患を学ぶ
実習概要・成果等:
 内分泌グループでは、朝・夕回診の参加、総回診の参加、各種負荷試験の実施、副腎静脈サンプリングの見学、担当患者さんの身体診察、症例発表などを経験しました。負荷試験では、静脈路確保や静脈路からの採血などを実際にやらせていただきました。先生方からは、各手技を分かるまで丁寧に教えていただけるので、実際に患者さんに行うときも自信を持って取り組めるようになります。原発性アルドステロン症疑いの患者さんに対する生食負荷試験・カプトブリル負荷試験、下垂体機能低下症疑いの患者さんに対する三者負荷試験など、各疾患に対応する負荷試験を実際に経験することで、教科書で得た知識がより深まりました。
 また、私の担当症例は薬剤による低Na血症の患者さんだったのですが、病歴が長く、病態も複雑で、考察が非常に難しい症例でした。ですが、担当教官の先生が細かくフォローしてくださったことで、少しずつ理解を深めることができました。本症例を通して、低Na血症を来しやすい薬剤や、中枢性尿崩症の診断法など、様々なことを学べたと思います。
 1ヶ月間ご指導ありがとうございました。多くの手技や症例を経験でき、とても有意義な実習でした。引き続き実習を頑張っていきたいと思います。

2021年(令和3年度 Ⅵ期)

西村英人 さん

実習概要・成果等:
 グループに所属し、朝・夕の回診に参加した。週に一度の総回診に参加した。原発性アルドステロン症疑いの患者に負荷試験を行った。
 高血圧患者は全国民の約三分の一、つまり約4000万人いる。そのうち原発性アルドステロン症患者は10%ほどである。原発性アルドステロン症では他の原因による高血圧よりも5~20倍死亡率が高く、早期診断、治療が大事である。
 また、自分は悪性褐色細胞腫の症例が担当となった。褐色細胞腫は90%が良性であるというイメージだったが、褐色細胞腫はすべて潜在的に悪性の可能性があるとして、WHOは悪性腫瘍の分類にいれた。さらに他の臓器に転移している場合はもちろん、他にも年齢が45歳以上であったり、SDHB遺伝子を持っていたりすると悪性のリスクが高まるということを学んだ。悪性褐色細胞腫は比較的緩徐に進行し、生存年数が長いことからADLの低下をきたさないようにコントロールすることが治療の目標である。したがって、転移があってもカテコラミンの過剰を是正するために原発巣を手術によって摘出した。今後の治療として、化学療法、放射性ヨードを用いたMIBG内照射療法、メチロシンなどがあるが、CVD化学療法のみが保険適用である。今後の研究で根治療法の模索はもちろん、上記の治療の有用性が明らかになり、治療の選択肢が増えることに期待したい。

発表演題:肺転移を伴う悪性褐色細胞腫


横関文弥 さん

【実習概要・成果等】
カンファレンスや回診などの病棟業務に参加しました。原発性アルドステロン症や下垂体不全など内分泌疾患について、検査や診断から治療への流れを学習できました。講義をしていただいたりカンファレンスの最中にも詳らかに解説をしていただいたりしたことで疾患への理解が深めることができました。
 静脈路の確保を練習し、各種負荷試験に参加しました。丁寧な指導と患者さんの協力のもと静脈採血や負荷試験の経験を積むことができました。
 原発性アルドステロン症について、局在診断のための副腎静脈サンプリングを見学しました。新しいガイドラインや新しく保険適応となった治療など、教科書ではまだ学習できていない最先端の臨床も学ぶことができました。
 先生方にはお忙しい中ご指導を頂き、ありがとうございました。
【選択を考えている学生に向けて】
 今年度の実習は緊急事態宣言の中でしたが、3密を避けた状態で行わせていただくことができました。制限があり自習時間が多かった分密度のあるものになったと思います。9月は同時に5年生も実習をしていたため、回診を朝夕交代にする・AVS見学を分けるなど大勢が集まらないように配慮して行われました。実習中は国試を意識しながら、些細なことも学びになるよう指導してもらいました。
 静脈路確保について学生同士で練習しながら経験を積むことができました。他科でも突発的に練習する機会はありましたが、毎日継続して血管を探す機会があるとより良い経験値になったように感じます。
 また、原発性アルドステロン症については意外に細かいところまで教科書には載っているので、その難しいところを理解できたことは自信につながっています。
 国家試験の学習を考えても、初期研修を見据えても、非常に学びの多い実習だったと思います。

発表演題:副腎偶発腫瘍を伴う両側性アルドステロン症の一例


2021年(令和3年度 V期)

西嶋瞭 さん

実習テーマ等:負荷試験、副腎静脈サンプリング
実習概要・成果等:
 サブクリニカルクッシング症候群(SCS)を合併したアルドステロン症(PA)の症例を担当した。日内変動試験で夜間のコルチゾール分泌が抑制されておらずSCSの疑いがあった。さらに右副腎に約20 mm大の腫瘍があることやACTHの低下、脂質異常症を合併していることからも今回の症例はSCSと診断した。副腎静脈サンプリングではコルチゾールの自律分泌があったためアルドステロンとコルチゾールの比ではなくアルドステロンの絶対量で両側性と診断した。アルドステロン症の診断は現在大きく変化している最中であり教科書に載っていないような最新の見解を学ぶことができた。
 本症例を通じて内分泌科の検査について理解を深めることができた。ほぼ毎日行われる負荷試験では自分でルートを取り採血を行うため手技に自信をつけることができた。またそれぞれの検査結果が病気によってどのように異なるのか実習の間に比較することができた。
 病棟回診では副腎疾患だけでなく視床下部疾患についても学ぶことができた。実際に患者さんを診ることで病気により体にどのような変化がでてくるのか学ぶことができた。
 その他、先生に随時質問に答えていただき高血圧の考え方について理解が深まった。原発性アルドステロン症は他のアルドステロンによる高血圧と変異している遺伝子が異なることを知った。病気がどのような原因で症状を引き起こしているのかを突き詰めていきグループ分けをすることで新たな治療につながる可能性があると感じた。

発表演題:サブクリニカルクッシング症候群を合併したために従来とは異なるAVSの結果解釈を要した一例


井手理央子 さん

実習概要・成果等:
 腎高血圧内分泌科 内分泌グループの実習を通して良かったと思う点として、(1)原発性アルドステロン症の経験(2)手技の上達 の2点に絞って振り返った。
 (1)原発性アルドステロン症は、東北大学病院が優れた診断成績を誇る代表的疾患であり、実習では多くの症例を目にすることができる。患者数が30〜40人に1人という極めてcommonな腫瘍性疾患であるため、その局在をつきとめる副腎静脈サンプリングは、確定診断のための検査として重要性が高い。実習では放射線科と内分泌科の連携を見ることができるのも面白いポイントだと思った。
 副腎静脈の左右の解剖学的な違いによって、血管へのアプローチの難易度が異なることは、見学していて印象に残った。下横隔静脈というランドマーク、破格としての吻合路の存在など解剖学を復習するきっかけにもなった。特に印象的であったのは、放射線科の先生がカテーテルをごく小さく斜めに切り込み、造影剤が噴出する方向を微調整する、いわば職人芸である。その直後に目的の分枝が造影された時は、見学していて非常に感心した。このように、サイズに関わらず全ての枝を検索し機能性の腫瘍見つけることが原発性アルドステロン症の診断の要であると実感した。
 (2)手技は、他科での実習に比しても、機会が充実していた。末梢静脈ルートの確保という基礎的手技を繰り返し経験し、上達することができた。5年次の実習など、折に触れて点滴の練習機会はあったものの、当実習ではさらにその先を経験した。まず輸液のセットを組み立てるところから始め、ルート確保後にはシリンジポンプを装着し採血とフラッシュを行うところまで行った。週に3度はこれを経験できた。初期研修医になる前に、6年次の実習でこれらをマスターできたことは、自信につながった。

発表演題:血清Caの上昇が軽度のため無症状で経過した原発性副甲状腺機能亢進症の一例


井手龍之介 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診断および治療を学習する
実習概要・成果等:
 担当症例である低Na血症について学習し、その内容について担当の先生から丁寧なご指導をいただいた。
 低Na血症は細胞外液量の増減、尿・血液浸透圧、尿・血中Na濃度によって大きく鑑別され、治療法もそれらの数値と原因疾患を元に考慮することを学んだ。また、自分が経験した症例は薬剤性の低Na血症であり、代表的な鑑別表には分類されない非典型的症例であったが、まず体内のNa量の減少によるものなのか、体内の自由水の増加によるものなのかで、高塩分食や生理食塩水輸液によるNa補充を行うか、あるいは自由水の量を管理するためにADHを調整するか治療方針が大きく変わることも経験した。
 さらに、低Na血症の症状は主に中枢神経系の機能障害であり、低ナトリウム血症に体内の総ナトリウム量の異常を伴う場合には、細胞外の体液量減少または体液量過剰の徴候も生じること、血清ナトリウム濃度が115mEq/Lを下回ると昏迷、神経筋の興奮性亢進、反射亢進、痙攣、昏睡などが生じ、死に至ることもあることを知った。
 また、低Na血症の是正する際の注意点についても学習することができた。重度の(急速に発症するまたは症状が顕著な)低ナトリウム血症では高張(3%)食塩水による部分的かつ急速な是正が必要であるが、最初24時間の上昇幅は8mEq/L以下とすべきであり、それよりも急激に補正すると浸透圧性脱髄症候群が突然発生するリスクがあることを学んだ。

発表演題:薬剤性低Na血症の一例


2021年(令和3年度 IV期)

楢岡凱 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診療の実際を学ぶ
実習概要・成果等:
【感想】
 今回の実習では、副腎疾患をはじめとして下垂体疾患や副甲状腺疾患、甲状腺疾患など数多くの症例を学びました。内分泌疾患は自覚症状が乏しいことも多く、そのような患者さんに治療介入するからには治療期間以上の健康予後の延長を目指すという姿勢が印象的でした。また東北大学は原発性アルドステロン症の権威のため、全国から患者さんが紹介されてきます。最先端の環境で大変有意義な1ヶ月を過ごすことが出来ました。
【担当症例】
 私は両側副腎腫瘍に伴いサブクリニカルクッシング症候群と原発性アルドステロン症を発症した症例を担当させていただきました。原発性アルドステロン症は腫瘍の位置が責任病巣と必ずしも一致しないため、治療方針決定のためには選択的副腎静脈サンプリングが重要となることなどを学び、内分泌疾患は診療の機序が体系立っていて、大変面白い分野だと感じました。
【実習内容】
 副腎静脈サンプリングの見学と血ガス採取、負荷試験の実践を中心に行いました。負荷試験では輸液キットの組み立てから末梢静脈路確保、毎時の採血など全ての手技を経験しました。また実際の患者さんに静脈路確保を行うに当たって、十分な事前練習の機会も与えていただきました。
 最後になりますが、1ヶ月間ご指導いただき本当にありがとうございました。今回の実習で学んだことを今後の実習に活かしていきたいです。


石垣智洋 さん

実習概要・成果等:
【学外実習】
 最初の1週間は大崎市民病院 腎臓・内分泌内科で実習を行った。入院患者では腎不全による透析導入の患者が多く、原疾患として糖尿病性腎症、腎硬化症、慢性糸球体腎炎といった典型的な疾患を見ることができた。また、腎生検も数例見学した。
 腎不全患者では心血管系や代謝関連の合併症を有することが多く、それらも考慮した治療や他科との連携などを学んだ。またステロイドによる治療を行っている患者もおり、緑内障や感染症をはじめとした多様な合併症に注意しながら治療を進めていく様子も見ることができた。
 外来では甲状腺・副甲状腺疾患や副腎疾患、妊娠高血圧症候群の血圧管理など、教科書でみるような内分泌疾患を幅広く見学できた。特に甲状腺ホルモン剤では副作用が多く、患者への説明や経過の観察が重要であることを学んだ。多忙な外来にもかかわらず先生が一つ一つ丁寧に説明してくださり、大変勉強になった。
【大学病院 内分泌グループ】
 原発性アルドステロン症や尿崩症、クッシング症候群など典型的な内分泌疾患の診断から治療までを一通り見ることができた。負荷試験ではラインの確保や三方活栓を使った採血などを経験した。他の科ではなかなかできないので貴重な経験だった。
 症例発表では原発性アルドステロン症についてまとめ、負荷試験やAVS(副腎静脈サンプリング)の結果の解釈やそれに基づいた診断・治療を理解した。低カリウム血症を呈さない原発性アルドステロン症について、当院で行われている研究から得られた最新の知見も踏まえながら、考察を深めることができた。
【高次修練での選択を考えている方へ】
 私の選択したコースは大崎市民病院1週間+大学内分泌グループ3週間のコースでした。大崎では腎臓メイン、大学では内分泌をメインに見たので幅広く勉強することができました。
 他の科ではなかなかできないルート確保などの手技を先生の指導のもと数多く経験でき、自信になりました。先生方は忙しい中でも患者さんのことや発表スライドについてのアドバイスなど、なんでも教えてくださるので非常に勉強になりました。
 手技の経験と疾患の勉強をバランス良くできるので非常におすすめのコースです。


新里龍司 さん

【実習テーマ】
①原発性アルドステロン症を始めとした代表的疾患について学習する。
②シリンジや三方活栓などの器具の扱いに慣れる。ルートをとれるようにする。
【実習概要】
 今回の実習では実際に患者さんの静脈ラインをとったり、負荷試験の際に三方活栓とシリンジを使ってた採血をする機会を得ることが出来ました。実際の現場では学生同士でラインを取るときと違い、血管が細くてほとんど触れなかったり、自分のやりやすい体勢で必ずしも取れるわけではなかったり、患者さんが怖がったりするなど想定していなかったケースが多くあり、研修医になった後で役に立つ体験することが出来ました。
 また、東北大学の内分泌科は原発性アルドステロン症の診断に必須な副腎静脈サンプリングを数多く行っており、日本でも随一の成功率(99%以上)です。実際にAVSも多く見学でき、成功率を上げるため様々な工夫をしていることを知れました。同時に血液ガス分析の手技も習得することが出来ました。
 忙しい中でも実習の学生に多くの手技を体験させて頂きありがとうございました。
【担当症例】
 異所性副甲状腺機能亢進症を担当させて頂きました。副甲状腺機能亢進症の症状や血液所見、手術適応などを学習しました。MEN合併により術式が変化すること、病変が三年以上に渡り発見されていなかった理由などの発展的なことを詳しく教えて頂きました。

発表演題:異所性副甲状腺機能亢進症の一例


2021年(令和3年度 Ⅲ期)

小林弘人 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診断と治療についての実習
実習概要・成果等:
 今回の実習では原発性アルドステロン症をはじめとした内分泌疾患を多く経験することができました。私の担当患者は原発性アルドステロン症の方で、精査のための検査入院をされていました。カプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験、蓄尿検査、副腎静脈サンプリングなどの主要な検査を全て経験し、検査方法や基準値、診断基準などについての理解が深まりました。また実際にルートを確保したり、三方活栓を用いて採血を行ったりしたことで、様々な手技も身につきました。
 私の担当患者さんは原発性アルドステロン症に加え低カリウム血症、慢性腎臓病、脂質異常症、高尿酸血症などを合併していました。特に低カリウム血症は重症で毎日グルコン酸カリウムを補充していなければいけませんでした。
 副腎静脈サンプリングでは血液ガス分析の補助やサンプルの分注を実際に行うことができました。副腎腫瘍の片側性か両側性かの診断手順や局在の同定の仕方を実際に見ることができ、非常に興味深かったです。
 最終週のスライド作成や参考文献となる論文を探している過程で、原発性アルドステロン症の診断基準や副腎摘出術後の腎機能障害の変化、血清カリウムの変化などについて理解を深めることができました。指導医の先生方も丁寧にサポートしてくださり、自分の間違った理解を正すこともできました。
 回診は毎日朝と夕方にあり、病棟に入院している患者さんの情報を確認してから回診するので、担当患者さん以外の症例にも多く触れることができました。国試の勉強以上のことを専門的に学べる機会はなかなかないので、貴重な経験となりました。
 実習全体を通しての感想としては、元々興味のある内分泌科疾患について学び、専門医の先生方の実際の働き方を間近で見ることができたのは、将来の進路を決める上で大きな経験になりました。
 また将来もし別の科に進むことになったとしても、内分泌科を回った経験を活かして頑張りたいと思いました。
 病院見学の影響で2週間と短い期間でしたが丁寧なご指導ありがとうございました。

発表演題:慢性腎臓病を合併した原発性アルドステロン症の一例


水野雄貴 さん

実習テーマ等:内分泌疾患の診断と治療の実際を理解する
       静脈ライン確保、採血の手技を身につける
実習概要・成果等:
 一ヶ月間、病棟の患者さんを中心に、回診、身体診察、カルテ記載などを通して、内分泌疾患の病態や主症状、検査・診断の流れ、治療について学ぶ事ができた。
 特に印象深かった担当症例は、Basedow病を背景に甲状腺クリーゼを発症した症例であり、診断基準や治療選択について論文やガイドラインを用いながら理解することが出来た。1ヶ月間同じ患者さんを見たことで、甲状腺クリーゼ発症後から甲状腺機能が落ち着くまでの経過を見ることができた。また、骨粗鬆症や脂肪肝、貧血、心不全など、内科の一般的な疾患の病態について診断基準から勉強し、実際の症状や経過を見ることができた。症状と身体所見、検査所見が結びつき、病態や治療を考える流れを理解することが出来たと思う。
 負荷試験のルート取り、三方活栓を使った採血をやらせて頂いた事で、手技の難しさと楽しさを学んだ。先生に一つ一つの手技の意義を理論的に説明して頂いた事で、より明確なイメージを持って手技をすることが出来た。来年以降活かせる貴重な経験だったと思う。
 担当の先生方が仕事の合間にプレゼンの準備を手伝ってくださった事で、症例報告のプレゼンをパワーポイントで行う際の慣例や、聞き手にわかりやすい発表を行うための工夫なども学ぶことが出来た。診断基準を満たさなくなることが治療効果の一つの基準という考え方は自分には無かったので、大変勉強になった。
 一ヶ月間お世話になり本当にありがとうございました。今後も本実習で学んだ事を活かし、実習に臨んでいきたいです。

発表演題:未治療のBasedow病を背景に発症した甲状腺クリーゼの一例


山中美慧 さん

実習テーマ等:肝臓癌のステージと治療について
実習概要・成果等:
 原発性アルドステロン症の患者さんを担当させていただきました。原発性アルドステロン症は診断基準がつい最近変わったばかりで、色々と学ぶことも多く、大変勉強になりました。原発性アルドステロン症は大きく分けて、副腎腫瘍が原因となるものと、過形成が原因となるものがあり、これらを鑑別するためには副腎静脈サンプリングが必須であることを学びました。特に原発性アルドステロン症は他の疾患とことなり、腫瘍の「機能」と「形態」が異なるという点が大変興味深かったです。また、原発性アルドステロン症は現在、腫瘍性と過形成のものが何方も同じ疾患として教科書に記載されていますが、低カリウム血症等の有無などの面からも、実は病態が異なるのではないかという知見もあり、病棟での実習を通じて教科書では学ぶことのできない最先端の学びを得ることができました。
 原発性アルドステロン症以外にも褐色細胞腫や甲状腺機能亢進症、下垂体腫瘍など様々な疾患を見る機会がありました。これらの疾患は内分泌科だけではなく、循環器内科、泌尿器科、脳外科、総合外科、放射線科などを始めとする、多くの科が連携して治療を行なっており、大学内におけるチーム医療の一端を見ることができました。また、疾患の診断、治療には生化学検査や画像診断等に関する幅広い知識が必要であったため、新しく勉強しなくてはいけないことが沢山あり大変でした。しかし、内分泌科の先生方の熱心なご指導もあり、プロブレムリストに対しでどの様に対応していくか徐々に理解していくことができ、内科的な考え方を深く学ぶことができました。特に、「患者さんの症状がない」と言うことと、「治療介入が必要ではない」と言うことは同じではないと先生がおっしゃっていたのがとても印象的でした。
 内分泌科で学習した疾患に対する考え方を他の科でも活かし、今後の実習に取り組んでいきたいと思います。最後になりますが、内分泌科の先生方には多岐にわたってご指導いただき大変お世話になりました。4週間、有難うございました。

発表演題:左副腎腫瘍によるCPA回復後の症例


李大維 さん

実習概要・成果等:
 今回の高次修練では最初の1週間は大崎市民病院の腎臓・内分泌科で行い、後半3週間を大学の内分泌Gで実習を行いました。大崎市民病院では腎臓・内分泌がグループで分かれているということはなく、主に病棟回診を通して様々な疾患の患者を経験できました。入院患者の中では慢性腎臓病やネフローゼ症候群などの腎臓疾患の方が多かった印象で、後半の内分泌グループで扱わない疾患ばかりで非常に勉強になりました。特に、病棟に腎臓病理組織の標本があり、講義として国家試験レベルの疾患の腎臓病理の見方についておしえていただくことができました。一番印象に残っている標本は半月体系性糸球体腎炎の標本で、半月体はスライスによっては円状に組織の増殖が見られることがあるという内容で病理を3Dで捉えることの重要性を改めて感じました。
 後半の3週間の実習では大学の内分泌グループでお世話になりました。入院患者さんは10人以上いらっしゃったのですがカンファや回診中に先生方が逐一細かく解説してくださったおかげで実習3日目くらいには病棟にいる患者さんの大体の病態については理解できるようになりました。実際にうけもった患者さんは1人だけでしたが、他の学生が受け持っていた他の症例などを学生同士で話を共有することで理解を深めることができました。症例としては原発性アルドステロン症や副甲状腺機能亢進症や甲状腺機能亢進症、下垂体機能不全など多くの症例を経験することができました。実習では他に副腎静脈サンプリングの見学を行い、副腎静脈の解剖学的走行や意義を理解することができました。また、負荷試験の伴いルート確保の練習をする機会があり、とてもいい経験となりました。何本か針をさしてみて一番重要だと思ったのは刺す場所と刺す角度を完全にイメージしながら静脈の走行を確認することだと感じ、この経験を今後に生かしていきたいと思います。
 3週間の実習でしたが、ご指導ありがとうございました。

発表演題:膀胱癌腺癌と副腎腫瘍を併発し経過中に多発転移を起こした症例


2021年(令和3年度 I期)

竹石潤平 さん

コメント:4週にわたり実習させていただき、内分泌の先生方には大変お世話になりました。
 実習では、内分泌疾患を幅広く勉強することができ、加えて興味のある病態について深く学習することができ、非常に良い実習でした。特にAVSの実習は、ミニレクチャーをしていただきながら、先生方がどのように動いてらっしゃるか学ぶことのできたとても良い機会となりました。先生方の働いている姿は、パッションがあり、非常にカッコ良かったです。
 内分泌の先生方はとても気さくで、学生にも優しく接してくださります。私たちは、どのような実習にしたいか先生と話し合ったのち、私たちの要望を承ってくださり、とてもフレキシブルに対応していただきました。その結果、非常に有効に時間を使うこともできて、濃密な実習ができました。
 内分泌で高次修練を行うことができてとてもよかったです。4週間ご指導有り難うございました。

発表演題:Basedow病に伴う眼症に対しステロイドパルスを行った症例


影山宗祐 さん

【感想】
 この実習を通して様々な内分泌疾患に触れることが出来ました。副腎や副甲状腺、下垂体など様々な臓器の内分泌疾患以外にも、その疾患に基づく今後起こりそうな合併症などについても治療や検査を行っているということが分かりました。また、負荷試験の日にはルート確保や採血などの他の科では経験できないような手技をさせていただき、大変勉強になりました。
 実際に先生方に様々な内分泌疾患について教えて頂けるので、機序の難しい、取っ付きにくい内分泌分野についての理解が深まって大変為になった実習となりました。1カ月間、お忙しい中ご指導頂き大変感謝しております。
【担当症例】原発性アルドステロン症
 副腎結節を認めない原発性アルドステロン症の一例について経験しました。アルドステロン症のスクリーニング、検査、診断、治療方針の決定などについて深く知る事が出来ました。
 また局在診断である副腎静脈サンプリング(AVS)は、機能学的所見を見ることが出来る検査となっており、CTによる形態学的所見とは必ずしも一致しないという事が自分にとってとても新鮮な事実でした。治療方針を決定する上で、機能的に原発性アルドステロン症の病変部位判断するAVSを行うことは重要であると学ぶことが出来ました。
 また、アルドステロン症ではACTHに反応して血漿アルドステロン濃度が上がる事など、内分泌疾患の面白さの一部分に触れた気がしました。

発表演題:副腎結節を認めない原発性アルドステロン症の一例


平野成有 さん

【感想】
 今回の高次臨床実習で練習させていただいた末梢静脈路確保手技は基本手技の一つですが練習させていただける診療科はなかなかありませんので大変貴重な体験でした。
 また、教科書には選択する血管や駆血のコツなどは書いていないことが多いので実践的な知識が身につきました。初期臨床研修に即応用が利くため大変ためになりました。実践的な実習を希望している方におすすめします。
【実習内容】
1)末梢静脈路確保の実技実習
  末梢静脈路確保については輸液キットの組み立てから指導いただき、新5年生
  との合同の事前練習を行った後に協力頂ける患者様の末梢静脈路を確保した。
2)副腎静脈サンプリング(AVS)の見学
3)新入院患者への問診
4)副腎偶発腫瘍の検査入院患者を受け持ちとして実際の診察プロセスを体験する。

発表演題:副腎偶発腫瘍の一例


庄子諒 さん

【高次で選択を考えている学生に向けて】
 大学の内分泌グループでは上記にもある原発性アルドステロン症(PA)の診療に力を入れています。PAは高血圧の5~10%と推定され、そもそもの高血圧患者の多さも相まって、どの科でも出会いうることが想定されます。そのPAを内分泌グループでしっかりと学ぶことは将来の自身の診療において、ひいては自身の患者さんにとって多かれ少なかれ役に立つ時が来るのではないかと思います。
 また、何と言ってもルートをとれる回数の多さは他の診療科の追随を許さないはずです。これは研修医になったらすぐ役に立ちます。学生のうちにある程度慣れることができるというところは魅力的に感じました。
 そして、自分のように外病院での実習もあるものにすると、大学との違いも見ることができ、ついでに病院見学もできるのでおすすめです。
【実習内容】
 最初の1週間大崎市民病院で、その後の3週間大学内分泌グループにて実習を行った。
 大学病院では二次性高血圧の原因となる原発性アルドステロン症をはじめとする各種内分泌疾患の診療を数多く経験した。ベッドサイドでの病歴聴取から、負荷試験や静脈サンプリング等の検査をして診断、治療をしていくという一連の過程を先生方と一緒に行い、医療チームの一員として診療に参加した。患者さんの訴える症状の有無に関わらず、医学的に介入可能な病態があるかどうかを病歴や検査データから自分の頭で考え、次の検査や治療内容を組み立てていくといったことを現場で体験できたことは、今後の糧となり非常に有意義であったと感じた。また、負荷試験の際の静脈路確保の手技を指導していただいたり、症例報告のスライド作成についてアドバイスをいただいたりして大変勉強になった。
 大崎市民病院ではネフローゼ症候群やANCA関連血管炎等の糸球体疾患や、常染色体優性多発性嚢胞腎といった遺伝性腎疾患の診断と治療の実際を学んだほか、腎病理や慢性腎臓病についての講義を受けた。ベッドサイドで急性期のものから慢性期のものまで幅広く診ることができ、腎疾患への理解が深まった。

発表演題:14年間経過観察となっていた副腎腫瘍の一例


2020年(令和2年度 VI期)

八木櫻子 さん

コメント:3週間お世話になりありがとうございました。手技や内科管理についてなど学ぶことが多くありました。稀少疾患も見ることが出来、大変興味深く感じました。今後ともよろしくお願いいたします。

実習テーマ等:内分泌性高血圧疾患や下垂体疾患等の診断治療を学ぶ
       負荷試験の手技を身につける
実習概要・成果等:
 ほぼ毎日行われる負荷試験において、末梢静脈ラインや採血を行い、手技を身につけることができた。特に採血では三方活栓の取り扱いをたくさん練習し、扱いに慣れることができたと思う。
 診療に参加する中で、内分泌性高血圧疾患である褐色細胞腫、Cushing症候群、原発性アルドステロン症などの病態や診断について学ぶことができた。入院中の管理として、血圧、血糖、電解質のコントロールの大切さについても学んだ。特に内分泌科では他の診療科以上に厳密なコントロールが要求されているように感じたが、先生方が気をつけている視点などをカンファレンスで教えていただきながら実際の症例でその管理を勉強できた。
 Carney complexの症例やKallmann症候群といった大変稀少な疾患も経験し、実臨床から病態や症状を学ぶことができた。
 褐色細胞腫の術前管理において、驚くような高用量のαblockerを投与しているが、手術時にほとんど血圧や脈拍の変動が抑えられていることに感動した。褐色細胞腫を診断するだけでなく、内分泌科の視点からより安全な外科手術が行えるようにサポートする大切な役目を担っているのだと思った。
 IgG4関連下垂体炎について地方会形式での症例発表を行なった。非常に稀な疾患であり、標準治療も確立されていないが、ステロイドパルス療法が奏功し、下垂体腫大の改善や視野障害の改善を認めた。
 下垂体機能障害は不可逆であり、ホルモン補充療法や電解質の調整などについても勉強になった。

発表演題:自己免疫性膵炎の再燃なく発症したIgG4関連下垂体炎の一例


山岸優太 さん

コメント:高次臨床修練Ⅵ期では大変お世話になりました。様々な内分泌疾患について学ぶことが出来、充実した実習とすることが出来たと考えております。ありがとうございました。

実習テーマ等:内分泌疾患の臨床経過・検査診断の過程等についてよく学ぶ
実習概要:3週間東北大学病院内分泌グループに配属され実習を行った。
実習成果:
・入院症例について回診やカンファレンス等を通して良く学ぶことが出来た。
・副腎静脈サンプリングや各種負荷試験の見学・手技への参加をさせて頂き、内分泌疾患について実地でよく理解することが出来た。
・希少な疾患であるCarney complexの症例を担当した。臨床経過や検査・診断の過程を先生方と共に追うことが出来、大変有意義な経験をさせて頂いた。最終日のスライド発表では症例の経過をもとにCarney complexの早期発見の契機や方法に関して考察し、議論を深めることが出来た。
実習総括:
内分泌疾患の臨床経過・検査診断の過程等についてよく学ぶというテーマで3週間の実習に臨んだ。内分泌グループでの実習を通して様々な症例に関する学習や各種検査・治療等を経験することが出来、今回の実習テーマに沿った充実した実習期間を過ごす事が出来たと考えている。腎・高血圧・内分泌学を将来の志望として考えており、本実習は将来像の形成の上で大変有益な機会であった。本実習で得た多くの経験を今後の医学生・医師の立場で生かす事が出来るよう、さらに研鑽を積んでいきたい。

発表演題:Cushing症候群のフォロー中に発見されたCarney complexの一例


野村俊介 さん

コメント:高次修練6期でお世話になりました、野村俊介と申します。 三週間の間ご指導頂き、ありがとう御座いました。 内分泌分野には少々苦手意識を持っていたのですが、担当症例や入院の患者さんをじっくりと勉強させて頂き、少なくとも国試レベルの知識では自信を持つことができたと感じております。ありがとうございました。

実習テーマ等:内分泌疾患の臨床経過・検査診断の過程等についてよく学ぶ

実習概要・成果等:
・Cushing症候群の患者さんを担当させて頂き、お話を伺いながらカルテをまとめ診断に至るまでの流れと治療について実際の症例に基づいて学ぶことができた。
・診断基準に照らしつつ前医経過と当院での検査経過を追っていくことで内分泌疾患のみならず一般的な診断へのチャートを体感することができた。
・担当以外の症例についてもカンファレンスや回診で触れることができた。種々の内分泌臓器に起因する疾患について身体徴候もみつつ学ぶことができた。
・負荷検査でのライン確保や採血を実習させて頂き、静脈採血の基本的な手技にある程度熟達することができた。
・負荷検査を行なっている場面に実際に立ち会うことができたため、検査の流れや目的、イメージを実感を伴って掴むことができた。

発表演題:偶発副腎腫瘍を契機にCushing症候群の診断に至った一例


2020年(令和2年度 V期)

濵口保礼 さん

実習テーマ等:傍神経節腫
実習概要・成果等:
【担当症例】
 腸穿孔を契機に発見された傍神経節腫
傍神経節腫ではカテールアミンンの過剰産生によって高血圧、頻脈、便秘などの多彩な症状が引き起こされる。今回、従来型のα遮断薬とβ遮断薬の投薬に加えて、2019年に日本で承認されたカテコールアミン合成阻害薬であるメチロシンを併用することで効果的にコントールをすることができた。
【現病歴】
 腹痛を主訴に前医でCTを撮影され、直腸穿孔と腹膜炎の診断でハルトマン術が施行された。同じCTで別部位に腫瘤を認めていたが、直腸穿孔とは別病態と判断されていた。手術所見では大腸全体に硬くなった便塊が著明に貯留していた。病理所見では切除病変に悪性所見がなく、穿孔の原因は不明であった。術中血圧が300mmHgを超え、肉眼的に腫瘤を認め、畜尿メタネフリンが高値であったため、傍神経節腫の疑いで当科紹介となった。
【経過】
 尿中メタネフリンが高値、MIBGシンチで集積を認め、傍神経節腫の診断となった。骨転移も認められた。治療として、メチロシンを3gまで増量することで尿中メタネフリンが70%減少した。ドキサゾシン、フェントラミン、ビソプロロールを増量していくことで、高血圧、脈拍、便秘をコントロールできた。骨転移に対してはデノスマブを使用した。
【考察】
 褐色細胞腫と傍神経節腫の合併症に麻痺性腸管閉塞、腸穿孔があると報告がある。機序としては過剰なカテコールアミンの影響で腸管運動が抑制されたことと血管の収縮による虚血によるものと考えられている。今回の症例も同様の機序で直腸穿孔を引き起こしたと考えられた。
【そのほかの経験症例】
 下垂体機能低下症、副腎不全、原発性アルドステロン症、カーニーコンプレックス、バセドウ病、バセドウ眼症、成長ホルモン分泌不全、副甲状腺機能低下症、尿崩症、SIADH
【感想】
 今回の担当症例は検査中に血圧が200mmHgを超えるなどのイベントがあったり、日本で承認されたばかりの高価な薬を使っていたり、傍神経節腫という多くない疾患の中でも稀な経過で、貴重な経験ができた。全体を通して、静脈路確保など手技も多く、症例も下垂体から副腎まで様々で非常に充実した実習を送ることができた。

2020年(令和2年度 Ⅳ期)

齋藤椋 さん

コメント:3週間大変お世話になり、大変勉強になりました。今後も機会がありましたら、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

実習テーマ等:内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、甲状腺、副甲状腺、脳下垂体、副腎等の内分泌疾患の診断と治療の実際を習得する。各種負荷試験、副腎静脈サンプリング検査などに主体的に参加し、可能な範囲で手技も身につける

実習概要・成果等:
 原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、IgG4関連下垂体炎、低ナトリウム血症、ADH不適合分泌症候群、成長ホルモン分泌不全症、Sheehan症候群、多発性内分泌腫瘍の患者さんを実際に見ることができた。ホルモンの過剰、欠乏によるものが多く、それをどうやって判断し、そのホルモンをどのくらい拮抗、補充していくかを重要にしていた。
 病棟では生理食塩水、CRH、グルカゴン、カプトプリル、ブドウ糖など様々な負荷試験をやっており、ルート確保、採血を多く経験させてもらえた。留置針、三方活栓の扱い方、エアが入らないようにするコツなど教科書では学べない手技を身につけられた。副腎静脈サンプリング検査も見学した。東北大学は世界で一番多く副腎静脈サンプリング検査を行っており、副腎静脈だけでなく、その先の副腎静脈の分枝からもサンプリングすることで、微小な機能性結節を発見でき、手術での取り残しを防ぐことができる。
 担当症例はSIADHによる低ナトリウム血症の患者さんだった。低ナトリウム血症は内分泌科では数少ない救急疾患の一つである。数時間おきに採血して血清Na値を確認し、急激に上げすぎないようにNa補正していくことが大事である。急な血清Na値上昇は浸透圧性脱髄症候群を招くため、治療初期は飲水制限、フロセミド投与をするが、途中からは血清Na値上昇を緩徐にするためブドウ糖液投与を行い、水分量のIN、OUTに細心の注意を払わなくてはならない。

発表演題:バソプレシン分泌過剰症(SIADH)により発症した低Na血症の一例


2020年(令和2年度 Ⅲ期)

西川剛司 さん

コメント:高次修練3期、非常に実り多い実習となりました。お世話になりました、ありがとうございました。

実習テーマ等:正常血圧のアルドステロン産生腺腫
実習概要・成果等:
【症例】30歳台女性 【主訴】原発性アルドステロン症精査目的 
【家族歴】父:高血圧症 祖父:食道がん、肺がん 【既往歴】特記事項なし
【現病歴】25歳頃からだるさを自覚していた。30歳の第1子の妊娠出産は問題なし。 35歳春に発熱が数ヶ月続き、A医院(秋田県)で精査を受けたところ、Na/K 144/2.9のため、原発性アルドステロン症の疑いで、B病院(秋田県)受診。 血圧 132/74、Na/K 140/3.4、U-K 33、TTKG 5.0、PAC/PRA 228/0.6、カプトプリル負荷試験 前 299.6/0.5→90分 243.6/0.5 CT:明らかな副腎結節なし 手術希望あり、更なる精査目的にC大学病院に紹介。 原発性アルドステロン症に関して、D大学病院内分泌科にセカンドオピニオンとなった結果、症例数の多い当院で精査を、との指示があり、本年6月当院紹介となった。C大学病院での精査中に、視床下部性副腎皮質機能低下症(ラトケ嚢胞あり)の診断になった。ヒドロコルチゾン5mg朝食後を内服中。
 この後カプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験、ACTH負荷試験を指導医の下、ルート確保、採血までさせてもらい、発表会の時にスライドを作成した。原発性アルドステロン症の確定診断を行うために血管造影室にてAVSサンプリングの見学をした。今回の症例ではひだり副腎結節からアルドステロン過剰分泌の所見が得られた。
【考察】本例は症例が少なく、過去の症例報告をまとめ、本例の特徴を考察した。
・30歳台女性
・PRAが低値、PACが活性化されている。
・重症低カリウム血症
・片側性の副腎腺腫
【感想】
・よかった点:ルート確保や採血の時、最初は患者さんに直接行うという恐怖心があったが、指導医の先生方が優しく丁寧に教えてくださった。負荷試験の患者さんが多く集まっているためか、ルート確保は数多くやらせてもらい、将来研修医として働くうえで大事なスキルを学ぶことができた。また、原発性アルドステロン症の患者さん以外にもクッシング症候群の典型例や腎性尿崩症、下垂体炎などバラエティーに富んだ症例をみることができ、非常に勉強になった。
・改善点:内分泌の先生方がかなり忙しくしているためか、自分がどのスケジュールで動けばいいか迷うことが多々あったため、改善してほしい。 また負荷試験の特性上仕方のないことだと思いますが、ルート確保の時は朝早くから行っていたので少し遅めになると嬉しい。
内分泌グループからのお返事:貴重なご意見ありがとうございます。我々も改善点と考えていましたので、時刻を明示するようにしました。また、ルート確保の時刻は1時間遅らせました。)
 全体的に将来内科系を志望している自分としては、将来医師として働くうえで非常に実りある実習となりました。尾股先生はじめ、内分泌グループの先生方には非常にお世話になりました。3週間ありがとうございました。

発表演題:正常血圧のアルドステロン産生腺腫の一例


2020年(令和2年度 Ⅱ期)

鵜養大輝 さん

コメント:スライド作成のご指導など本当にありがとうございました。スライドをbrush upしていく過程はとても勉強になりました。今後に生かしていきたいと思います。

実習概要・成果等:
 内分泌グループでお世話になり、多くの症例に触れることができました。原発性アルドステロン症の診断方法や、副腎腫瘍の鑑別方法、下垂体機能低下症の治療法などを学びました。
 原発性アルドステロン症の診断に際して、カプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験、副腎静脈サンプリングを経験しました。カプトプリル負荷試験は、R-A-A系を遮断する試験で、それでもアルドステロンが産生されていれば陽性です。生理食塩水負荷試験も同様に、腎血流量を上げ、レニン分泌を抑制する試験です。負荷試験の際には、ライン確保を経験させていただきました。失敗しても励ましてくれる患者さんの優しさにも助けられ、徐々に慣れていくことができたのは良かったです。
 どちらかが陽性になった場合、副腎静脈サンプリングが施行されます。左右どちらの副腎からアルドステロンが過剰に分泌されているかがわかるのはもちろんのこと、それぞれの副腎静脈の中の分岐から、局在をさらに絞ることができ、CTでわかりにくい副腎皮質の過形成を見抜くことができます。
 副腎腫瘍では、ホルモンが腫瘍マーカーになり、副腎皮質(球状層、束状層、網状層)、副腎髄質、どの組織に由来しているかを鑑別することができる、という点が印象的でした。さらに、褐色細胞腫では、アドレナリン優位であれば副腎内、ノルアドレナリン優位であれば副腎外腫瘍であることも知り、これはコルチゾールがノルアドレナリンをアドレナリンに代謝する時に作用するためであると学びました。
 私が担当した患者さんは原因不明の下垂体機能低下症の方で、対症療法にデスモプレシンとヒドロコルチゾンを、根治療法にプレドニゾロンを使っていました。特にデスモプレシンの投与量に難渋しており、投与量を増やせば尿が濃くなり血が薄くなってしまうが、投与量を減らせば尿量が増え、夜間におきる回数が増えてADLが下がってしまう、という状況でした。患者さんには水制限を行ってもらい、薬の投与量に関しては、隔日にしたり、1/2、1/4に割ったりと、工夫をしながら適正量をみつけ、協力しながら血中Na量をコントロールし、退院となっていく過程を見ることができたのはとても良かったです。
今回の実習を通して、様々な内分泌疾患を学ぶことができ、またライン確保の手技を多くこなすことができました。

発表演題:肺・胸膜病変に下垂体機能低下症を合併した一例


渡嘉敷直之 さん

コメント:ありがとう御座います。高次修練の他の期間も充実した実習を送る事ができました。SGTに比べ病棟実習も手術見学もより多くの事をさせて頂き、また少しですが臨床研究のお手伝いもさせて頂くこともできました。残る卒試と国試も頑張っていきたいと思います

2020年(令和2年度 I期)

榊間貴滉 さん

コメント:3月の高次修練では大変お世話になりました。ご迷惑をおかけしてばかりでしたが、たくさんの手技をやらせていただいたり、スライド作りでは丁寧に教えていただいて、とても勉強になりました。

実習テーマ等:病棟の患者さんの診療を中心に、内分泌についての理解を深める
実習概要・成果等:
 回診前のカンファレンスや月曜日の総回診でのプレゼンテーションを通して、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、副甲状腺機能亢進症などについて勉強した。また、副腎静脈サンプリングの補助を行ったり、カプトプリル負荷試験、生理食塩水負荷試験でのルート確保と採血を行ったりすることで、原発性アルドステロン症についての理解を深めた。症例のプレゼンテーションでは、骨粗鬆症を契機に診断に至った原発性副甲状腺機能亢進症の症例について発表した。プレゼンテーションの準備の中で、原発性副甲状腺機能亢進症の診断、治療、合併症、疫学について調べ、さらに骨粗鬆症の診断も学んだ。
 今回の実習では、SGTではほとんど行うことのできなかった手技を非常に多くやらせてもらえて、とても勉強になり興味深かったし、1年後には医師としてこのような手技を行うことになるということを実感できた。
 カンファレンスやプレゼンテーションではたくさんの患者さんについて先生方から丁寧に説明して頂いたことで、様々な内分泌疾患について勉強することができた。特に検査に参加させていただいた原発性アルドステロン症と症例だった原発性副甲状腺機能亢進症については深く理解することができた。
 症例のプレゼンテーションについては、臨床医の思考、色でのハイライト、採血データの表記、疫学を用いた考察の考え方など多くのことを教わった。先生方には、非常に熱心かつ丁寧にご指導いただいて充実した実習を行うことができた。

発表演題:骨粗鬆症を契機に診断に至った原発性副甲状腺機能亢進症の一例


金子俊幸 さん

コメント:先生方には本当に大変お世話になりました。病院実習は今参加できない状態となりましたが、モチベーション高くできることをやろうと思います。これからも会う機会があると思います、そのときはよろしくお願いいたします。

実習テーマ等:様々な内分泌疾患の診断と治療
実習概要・成果等:
 この実習を通して様々な内分泌疾患に触れることが出来ました。副腎や副甲状腺、下垂体など様々な臓器の内分泌疾患以外にも、電解質の管理の仕方であったり糖尿病の方の管理の仕方など内科全般的なことを学ぶことが出来ました。教科書的なことはもちろんのこと、先生たちは実際の臨床現場ではどういうことを考えながら患者さんを把握しているのか、具体的にはその疾患だけでなく今後起こりそうな合併症や現時点でサポート出来る最大限のアプローチなど様々なことを念頭に置いて治療や検査を行っているということが分かりました。また、実際に疾患をもった患者さんと接することでその疾患がどういう特徴を持っているのか、臨床に出てみて知識がさらに深まりましたし、なによりたくさんのいろんな疾患を経験することが出来てとても勉強になりました。
 勉強面以外にもたくさんのことを学ぶことが出来ました。先生方の患者さんに対する姿勢であったり、いかにコミュニケーションをとるか、良好な関係を築くかなど人間的な面でも非常に多くのことを学ばせていただきました。
 内分泌では負荷試験が毎日のようにあり、静脈から穿刺してルート確保する、採血も行うなど他の科では経験できないようなことも数多く経験出来て毎日刺激的でしたし貴重な経験をさせてもらいました。負荷試験は朝がとても早いですが、一回も遅刻することなく実習を終えれたことはこれからの自分のキャリアに繋がると思います。また、副腎静脈サンプリングでは他の病院で見ることはできないものをみたり教えていただいたりしてその手伝いをさせていただいたことも貴重な経験でした。 この実習を通してたくさんのことを吸収出来ました。臨床の現場に出ることは本当に勉強になることが多く自分のモチベーションにもなりました。毎日お忙しい中、手厚くご指導してくださった先生方には本当に感謝申し上げます。1カ月間、大変お世話になりました。自分のこれからのキャリアにつなげていきたいと思います。

発表演題:微小アルドステロン産生腺腫に対して再精査を行った一例


2020年

2020年度に高次修練で内分泌グループを選択してもらった学生の教務係へのコメント(原文ママ)になります。医学教育推進センターの許可を得て転載しています。

内分泌グループでは、通常の高次修練のカリキュラムに加え、末梢ライン確保(おそらく他の診療科ではほとんどやっていないと思います)をカリキュラムとして入れており、高次修練で選択してくれた学生には積極的にライン確保をしてもらっています。1ヶ月のローテート中に学生1人につき20-30本、多いときは40-50本のライン確保を行ってもらっていますので、高次修練で経験できる手技の中では格段に多い数を経験できると思います。末梢ライン確保は手技の基本中の基本であり、厚生労働省なども「医師養成の観点から指導医の指導・監視の下で臨床実習中に実施が開始されるべき医行為(必須項目)」に含んでいます。

また、実習の終わりには担当症例を内科地方会レベルでプレゼンテーションしてもらっています。スライドの作成法を含め、丁寧な指導を心がけています。

2020年度の学生さんからも、これらを反映した嬉しいコメント(原文ママ)を頂戴しております。興味がある学生さんはぜひ内分泌グループ、そして腎高内を選択してください。お待ちしております。

●実習はディスカッションを交えた講義形式であった。内分泌にかあくぁる疾患はベースとなる基礎的な知識が重要になってくるので、わからないことをあやふやにせずすぐに聞けるような本形式は、その理解にとても適していたと感じる。
●内分泌腎臓など幅広い分野を網羅した解説をしてくださり、理解が深まった。丸暗記ではなくなった。
●内分泌疾患について詳しく学ぶことがきました。
●内分泌疾患などについて深く学ぶことができました。
●講義形式で内分泌系の疾患について学ぶことができた。
●患者さんが少ない分、一人の患者さんを長期間診察して、深く掘り下げて勉強する事ができてとても勉強になりました。勉強会や学会に参加する機会をいただき、たくさん勉強することができました。論文検索がより身近なものになりました。
●内科学会での発表を通じて研修医になってからの不明点の調べ方、学習方法について学べた。
●ルートや採血を積極的に取らせていただいた。
●準スタッフとして、各種負荷試験のルート確保や採血業務、ベッドサイドでの診察に数多く加えていただいた。手技的にも知識として、も多くの事が学べた。
●採血などの手技をやらせていただけた。プレゼンを何度もみてくださり非常に勉強になった。
●症例プレゼンテーションの技術が向上した。

2012年

手塚雄太 先生

手塚雄太 僕は6年次の高次医学修練として、内分泌グループに3週間お世話になりました。

 内分泌グループには5年次の臨床医学修練においてもご指導頂きましたが、その時に内分泌の奥深さに触れ、内分泌の面白さを知りました。そのため、今回は研究と臨床の両面において更に踏み込んだ内容を学びたいと考え、病棟実習に加えてボストンで開催された米国内分泌学会にも参加させて頂きました。

 米国内分泌学会では佐藤先生に帯同させていただき、沢山の講演を拝聴しました。学会には世界各国から名立たる内分泌学者が参加しており、文献で何度も名前を見たことのあるWilliam F. Youngらの講演を生で拝聴することができ本当に感動しました。講演全体としては、副腎や性腺、小児内分泌など内容がバラエティに富んでおり、かつ、基本的なトピックから最新のトピックまで盛りだくさんであったため、たった数日間で様々な知識に触れることが出来ました。そして、夕飯は毎晩先生方とご一緒させていただき、ボストン名物のクラムチャウダーやロブスターを美味しくいただきました。

 また、病棟実習では、一人の医療従事者として診療に参加させて頂きました。その中でも特に印象に残ったのは、病態・疾患の考え方です。内分泌は血液検査やホルモン負荷試験が主体となりますが、そのデータや画像検査の結果を照らし合わせることにより、どのような疾患が除外され、どのような疾患が鑑別に上がるといった考え方は、座学では身にかないものであり、とても勉強になりました。朝のホルモン負荷試験から夕方のカンファレンスまで、とてもメリハリのある充実した実習でした。

 今回の高次医学修練では、他の実習では有り得なかった貴重な経験をさせて頂きました。3週間という短い期間でしたが、とても密度の濃い実習が出来たと思います。忙しい中ご指導頂き、また国際学会へ参加させて頂いた内分泌グループの先生方には深く感謝しております。

 


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